で、なにこれ、もうれついい話じゃないか。これは感動するわぁ。原爆投下時の惨状ではなく、13年後、そして現代まで続く、悲しみ、苦しみ。でもたくましく前向きに、重すぎずさわやかに。
前半は被爆から13年後の広島が舞台。麻生久美子が主役で、父や妹を亡くして自分が生き延びたことに後ろめたさを感じている。恋人ができて、ようやく自分の幸せを、というところで被爆の後遺症で亡くなる。後半は現代の東京が舞台。田中麗奈が主役で、麻生久美子の弟の娘。黙って姉の50回忌に広島に行った父の後をつけたところ、期せずして家族が直面した原爆の悲劇と向き合い、自分のルーツに触れる。
原爆の後遺症に肉体的だけでなく精神的にも苦しめられる人達と、それをやさしく包み込もうとする家族、恋人。「幸せになったらいけんような気がして」→「生きててくれてありがとうな」のくだりはたまらん。そして後半の現代部分で後世への影響も描くことで現実感。過去のことじゃなくてまだ終わってないんだよと。それは前半と後半をつなぐ「このお話はまだ終わりません」というセリフにも表れているような。また、「原爆は落ちたんじゃのうて、落とされたんよ」というセリフは、人災であることを明確にしようという思いか。
麻生久美子も田中麗奈もどっちもいい感じ。麻生久美子の広島弁には出世作の「カンゾー先生」を思い出したね。あれは岡山か。それから麻生久美子の役名が「皆実」で、広島で皆実といえばぼくがこれを見た日に高校サッカーで優勝した広島皆実高校じゃないかと思ったら、役名は広島市の町名から取られているってWikipediaに書いてあった。やっぱり。
いやー、いいもの見た。1週間レンタルだからもっかい見よう。
夕凪の街 桜の国 [DVD]
田中麗奈, 藤村志保, 伊崎充則, 麻生久美子, 佐々部清
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村松崇継
by G-Tools夕凪の街桜の国
こうの 史代
by G-Tools小説 夕凪の街桜の国
国井 桂
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